損をした気分 と 万引き の関係

自分の万引きは色んな事に関連づけられていると思うが、

その一つとして「損した気分」があると思う。

 

自分にとってこの感覚はかなり幅広いと思う。

 

1 経済的な(金品の)損失

 何かを盗まれた

 

2 投資分(時間や労力、精神力)の損失

 せっかくやったり、つくりあげたものを台無しにされた

 無駄だろうと思うことに時間や労力を費やさなければならない

 

3 機会損失

 1や2を奪われて、将来得られる見込みであったものが得られなくなった

 2を、他の意味のあることに浸かっていれば得られたであろう利益を得られなかった

 

4 その他

 2と近いが、進歩が無いのに何度も同じことに付き合わされる、同じ説明を何度もさせられるなど

 危険な運転でヒヤッとする

 路上喫煙からの副流煙

 何か不当なことをされて誤らない人にイライラ

 何度も失敗する自分自身に、時間を無駄に奪われた

 

 

などなど、色々あるのだが、

結構細かい。。。

 

そう。

損失に対してすごく敏感なのである。

そして、ひとたび損失を認識してしまうと、それをなんとか回復させたくなるのである。

だが、適切な回復が出来ないことが多い。

 

出来ない原因は以下のような感じ

・いい人でいたい、嫌われたくない、などの考えもあるから、相手の人に強く言えない

・意を決して強く言った挙句に、人間関係も壊れ損失も回復しないという二重苦を経験したので、もう言いたくない

・自分自身の過ちが原因だから、自分を責めるしかない

 

そうすると、どこか関係ないところで「埋め合わせ」をしたくなる

しないではいられなくなる

 

危機感や脅迫観念も関係しているのだと思うが、

損失を補填しないと、すごく不安になるのである

 

被害店舗が自分に対して直接何かをしたわけではないのは分かっているが

どこかで埋め合わせをしなければならない

ただそれだけなのである

 

万引きをし始めた当初は、このような思考ステップを経て万引きをしていたこともあると思う(他のこともあったと思う)

 

これが、病的窃盗となり常習的に万引きするようになってからは、

  A 損失の認識 → 万引きの実行

これが反射的に行われるようになったと思う

 

自分の場合には解離性障害もあるといわれているので、もしかしたら

  B 損失の認識 → 解離(万引きする人格に入れ替わる) → 万引きの実行 → 解離から元に戻る

となっていたのかもしれない

 

上のAでもBでも

もう何も考えている暇も余地も無い

 万引きは違法行為、犯罪

 万引きをしてはいけない

 被害者に迷惑をかけてしまう

 捕まったら大変なことになる(実刑確実で刑務所にいかなければならない)

 捕まったら数百万円の保釈金が没収されるかもしれない

 身内を悲しませる

 仕事を失う

 ・・・

とにかく何も考えられていない。

ただただ、ひたすら万引きを実行することにむかっているだけだった。

 

 

今も、損した気分は感じることがある。

ちょこちょこと細かいことで感じる。危機感や不安感も感じる。

 

だが、それが万引きに直結してはいない。

 

感じて、感じた後にどこかに捨てるというか一時的にどこかに仮置きしたりしている感じかと思う

まぁいっか、と完全に忘れることまでは出来ていないが

まぁいっか、と考えるように努めるような状態だと思う

 

そして、仮置きしている間に

気持ちを切り替えることを努めている

 

仮置きしている間にさらに追い打ちがあるとかなりキツイが

そうならないように避難したりしている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場凌ぎだけでなく、自立へ近づくことを

 

支援って、最終的に自立できるところを目指してやらないといけないと思う。

そして、支援は飽くまでも支援。

 

本人がどうなりたいのか、目標設定が大事だと思う。

目標設定をするところも、支援することは必要だったりすると思う。

 

目標達成のための本人の行動計画を立てる。

支援計画を立てる。

 

計画を実行する。

計画どおりに進んでいるか確認して、必要に応じて計画を修正したりしながら実行する。

 

本人が自立した状態になるためにはこうしたことが必要だと思う。

 

 

病気の問題にしても

経済的な問題にしても

その場凌ぎのことをするだけでは、それは自立のための支援とはならないことが多いと思う。

 

その場を何とか凌げたとしても、本人の状態や環境が変わらなければ、また同様の問題に直面すると思う。

そして、以前よりも強大な問題になって。。。ということが多いと思う。

 

問題が発生して、それに気が付いた時点で

その原因や、根底にある問題や、周辺の問題を確認するのがよいと思う。

後になればなるほど、問題は複雑化し拗れて、解決や解消が困難になると思うから。

 

とはいえ、とりあえずその場を凌ぐことが出来なければ

その先にある自立も無い。

その場凌ぎだけで終わらせてはいけないと思うということである。

 

その場凌ぎの対応を続けていたら、そのうち支援する側ももたなくなる。

共倒れになる。

誰もが不幸になる。

 

室内でホッカイロ

刑務所の舎房には一部(北海度など)の刑務所以外では、暖房が無い。

冬はすごく寒い。

 

人間の体がヒーターであり、自分の体で室温を高めていく感じ。

独居より雑居の方が、暖かく感じる。

 

自分が行った二つ目の刑務所では、冬にホッカイロを使えた。

自分のお金で買って使うのである。

ちなみに、他の刑務所(既決でいた拘置所も含めて)では、買うことも使うこともできなかった。

 

東京拘置所

未決の時には使えるが、既決になると使えないという感じだった。

 

ホッカイロを使えたら、あったかくていい!

みたいな感じではない。

 

ホッカイロが無いとやばいくらいに寒いということなのだと思う。

 

ホッカイロ購入にかかるお金も結構かかってしまった。

自分は寒がりなので、他のものはあまり買わなかったが、ホッカイロは買って使っていた。

と言っても、お金がかかるから、なるべく使わないように節約していた。

一日中部屋にいる免業の時で、もう耐えられないっていう日にだけ使っていた。

 

 

今、10月なのに急に寒くなってきた。

12月、1月、2月の冬本番・・・その頃、刑務所にいることになる。寒いに決まっている。

来年も、再来年も冬を越さないといけない。

3回の越冬、気が重い。

自分が意志を持っているかどうかが重要だと思う (治療への取組)

他人から治療の必要性などを言われても、

もともと自分にその気がなければ、治療へは向かえなかったと思う。

 

他人の言葉が後押しとなったり、背中を押してもらったり、ということはあると思うが、

方向を逆へ転換するほどの力は感じないと思う。

 

自分はそうだったと思う。

 

自分の言葉もまた、人に対してそれほど大きな力はないと思っている。

治療について話をして、自分の想いや考えは伝わったとしても、

その人が治療へ向かう意志を持っていなければ、治療へ向かえないのだと思う。

そういうことで何度か自分の無力さを感じたことがある。

 

先日、万引き当事者に、自分の経験などを話す機会があった。

グループミーティング - igawa9の日記

治療、特に入院治療を受けることに不安や抵抗があり、今まで受けることができなかった人たちだった。

自分の話聞いた結果、色々と考えて、治療を受ける気になったという。

自分はそう言われて、すごく嬉しい。

 

でもきっと、その人の中に小さな火種みたいなものがもともとあったのだと思う。

自分はそこに酸素を送って、火を大きくすることができたのかもしれない。

自分の力は、まだせいぜいその程度だと思っている。

 

でも、その程度だとしても、今後もう少しやりたいと思う。

治療へ取り組む、取り組もうとしている人の姿を見ると、自分も良い刺激を受ける。

自分にとっても、万引き防止への気持ちとか姿勢の維持や強化に有用だと思う。

グループミーティング

グループミーティングのようなことをした。(名称はわからないが、弁護士がそう言っていた)

弁護士から依頼されて、これまでの自分のことを話して欲しいと言われて実施した。

 

普段はKAという自助グループに通っている。そこは「言いっ放し聞きっぱなし」という原則があり、他の参加者の発言に同調も批判も避難もしない。黙って聞くだけ。

 

先日やったグループミーティングは、基本的には自分が話をするのだが、

質問とかもたくさんされた。

共感する部分があって、「私もそうなんです」とかそういう反応もたくさんあった。

 

これまで治療に繋がらなかくて(数回だけ通院してすぐにやめて)、再犯してしまった人たちが、

井川の話を聞きたいということだった。

 

1 初めて万引きをした頃のこと。

 自分の立場、環境、精神状態など・・・

2 万引きして逮捕されて受けた処罰。

 処罰の内容、その時の気持ち、どれくらいのダメージがあったか・・・

3 繰り返し逮捕された時のこと。

 2と同じような項目を3についても

4 通院治療

 治療を受けようと思った理由、治療内容、効果、なぜ治療をやめたか・・・

5 刑罰

 刑罰の内容、受刑中の教育とか治療(が、ほとんどないこと)、刑罰を受けても、あまりよくならなかったこと・・・

6 再犯の繰り返し

 5と同じような項目を6についても

7 入院治療

 治療を受けようと思った理由、治療内容、効果・・・

8 万引きをし始めてから、どのような悪化の道を進んだか

 

などなど、を中心に2時間くらい。

かなり細かく、赤裸々に。。。

 

最後に、

・治療が必要だと思うこと。

・治療をしないと、自分のように悪化するしかない。

・悪化もするし、それなりに重い刑罰を受けなければならない。

・自分のようになってもらいたくないということ。

などを。。。

 

話を聞きに来てくれた人達、辛そうだったな。。。

 

今まで、同種の問題を抱えている人と、話をしたことがなかったらしい。

話を聞いたこともなかったらしい。

心療内科などに行って、窃盗のことを話しても、理解してもらえなかったらしい。

 

自分もそうだった。。。

 

ミーティングのあと、弁護士を通して参加者からのフィードバックといくつかもらった。

・自分みたいにならないで欲しい、というメッセージに感激した

・入院治療を迷っていたが、行く決心ができた

・もう一度治療を受けるため、病院へ行こうと思った

などなど

 

そういう考えになってもらえて、自分も嬉しい。

自分も治療を続けていきたい。

 

これからも、機会が有れば、機会を探したり作ったりしていきたい。

KAみたいなのもいいけど、

意見し合えるようなミーティングも、自分はやっていきたいと思った。

自分と向き合うことによる効果

2018年12月に入院治療を開始した。

 

入院以降、そして退院してからも1年半以上、以前書いた↓ことを繰り返している。

自分の内部を深掘りする - igawa9の日記

 

 

治療の一環として、自分のことをすごくよく見ている。

・自分のやってきたこと

・その時の状況や環境

・その時の心情や思考

・そういう心情や思考になった背景

などなどを

思い出したり考えたり分析したりし続けている。

 

 

やってきたことというのは一つではなくて、

万引きと言っても高校生の頃、大学生の頃、社会人なりたての頃、服役後・・・など自分の年齢によって少し違うので、別に考えている。

万引きだけでなく、その他の問題行動、問題行動ではないが嗜癖行動、嗜癖行動ですらない行動も。。。。

 

自分との対峙、みたいなことは本当に疲れる。

特にやり始めた頃は、頭の中が、うわーってなる感じのことも多かった。

 

こうしたことを毎日毎日、何時間も繰り返している。

治療としてきちんと時間をとってやることもしているし、

移動時間、入浴中、運動中・・・気がつくと考えるようになっている。

 

昔よりも、自分がどうしてこうなったのか、自分なりの理解ができてきた気がする。

自分なりの理解ができてくるにつれて、

「やはり危険」「’治る’という境地にはいけない」

より一層そう思う。

だから治療は続ける必要がある。治療を優先すべきだと。

 

毎日毎日自分と向き合うことは、自分に対する理解に繋がり、そこから万引き防止のヒントを見つけることに繋がるとも思うし、

向き合う作業を続けること自体が、自分のその日の精神状態を安定させたりすることに繋がるような気もしている。

 

酷い行いの繰り返し

荒れた心、汚い心、怨念、絶望

自制心、自勢力の不足

能力不足

失ったもの、自ら狭めた今後の可能性

・・・

もう目を覆いたくなるような惨状だし、本当に辛い。

 

でも、それが現実。それが今の自分。

楽ではなく辛いのだが、それでもやったほうがいいと思っている。

 

 

 

あと、最近ふと思ったのだが、

以前よりも、自分のことを憎んだりすることはなくなったような気がする。

 

まだまだ「肯定」するところまではいかないが

「完全否定」するのではなく、こんな自分でも生きていていいのかもしれないってくらいに思えるような気がしている。

 

入院治療をして以降、他にも以前とは違うことをやっていると思うので、

自分のことを見るということで変わったのかどうかはわからないのだが。

 

何となく、少しは影響している気がする。

 

以前は絶望していたし、自らがさらなる絶望に向けての思考や行動をしていたとも思う。

入院治療以降は、何とかしてやめるとか、少しでも楽になるためにってあがいているから、自分が向かおうとしてる方向が違うから、それも大きいと思う。

 

・気持ちだけやめようと思っても、治療法やその他の対処法がわからなければ、なかなかやめられない。

・やめようと思ってその方向へ進もうとしなければ、進むことはできない。

 

どっちも大事。

どっちも必要不可欠。

 

生きようとするために、気持ち・心を立て直すのはすごく難しい。

短期的に立ち直っても、結構折れたり倒れやすいので、維持することも大切。

 

今は自分は、自分のことを見ることが、

そういう面でも少し役立っているのかなぁと思っている。

 

手紙や面会について 仮面接・本面接で質問されたこと

仮面接(準備面接)、本面(本面接、委員面接)

で、手紙や面会のやりとりについて

面接官から聞かれたこと

 

1 誰と手紙やりとりしてるか?

 自分の回答 

  柄受け(親)

  親戚

  知人(元職場の先輩)

  出所後に勤める予定の会社の社長

 

2 1の各相手と、収監前にどういう関係だったか? 

 自分の回答

  親とか、親戚とか、出所後に勤める予定の会社の社長とか、のレベルで、ざっくりと回答した。

 

 

3 1の各相手とのやりとりの頻度は?

  特に、柄受け(自分は実親)との手紙やりとりの頻度?

 

  自分の回答

   それぞれの相手と月に1通くらい

 

4 1の各相手とどんなやり取りをしているか?

 自分の回答

  近況とか、仕事の相談とか、出所(仮釈放)の見込み時期とか

 

5 柄受け(親)が面会に来ないのはなぜか?

 自分の回答

  自分が服役してる刑務所が家から遠いので、時間的に体力的にも経済的にも負担がかかるので、来ないように頼んだから。手紙だけのやり取りにするように頼んだから。

 

6 出所後に勤める予定の会社の社長とは、ちゃんと連絡が取れているのか?

  (出所が近くなった現時点で仕事が決まっているのか、相手は受け入れてくれるのか?みたいな確認)

  

 自分の回答

   できている。

 

7 6の相手と手紙だけで、面会に来ないのはなぜか?

  自分の回答

   遠いから。相手は働いている人なので、平日の開庁時間帯に面会にくるのは難しいから。

   だが、一度、出張のついでに足を伸ばして刑務所まで来てくれたが、

   親族でもないし柄受けでもないからという理由で、

   その人は追い返されて、面会はできなかった。

 

 

面接官は自分についての情報が書かれているっぽいファイルを見ながら、

1~7について軽く質問してきた。

 

その後、さらに、ファイルの中身をペラペラめくりながら、

とあるページで手を止めたりしながら

個別の手紙の具体的な内容について、いくつか質問がされた。

 

XYZ日、Aさんへあなたは手紙を書いている。その中で、「ーーーーーー」ということを書いている。

これはどういうことか?

 

みたいな質問を、何項目かされた。

 

・「部屋で自分勝手なことばかり言って、自分勝手な行動を取る人がいて困る」

 と書いてあるが、これはどういうことか?

・「違反行為をするようにそそのかされる」

 と書いてあるが、誰にどういう行為をするように言われるのか?

 そして、あなたはどうしたのか?

・「部屋や工場で、すごく迷惑な人がいる’

 と書いてあるが、その人のどういうところが迷惑なのか?

・出所時交付の手紙が届いているが、その手紙をどうするつもりか?

 (届いた手紙の差出人を、刑務所が「不適切」と判断すると、受刑者はその手紙を服役中に受け取ってみることはできない。

  出所時まで領地されて、出所時交付される。誰からの手紙なのかも出所時までわからない。

  同じ刑務所から先に出所した人、前科がある人、暴力団員の登録がある人などからの手紙が、出所時交付になることが多い。)


 

 

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