気がついたらやってしまっていた

万引きをしようと決めて(自由意思の元で行動を選択決断して)万引きをしていたというのは、

自分はやり始めた初期の頃だけだったと思う。

 

気がついたらやってしまっていた、やってしまう。

 

店にいる時に、

・万引きは犯罪行為だからやってはいけない

・万引きをして捕まったら大変なことになる

・これで捕まったら、実刑確実で自分に取って不利益だ

・捕まらなくても、店に迷惑をかける

・店だけでなく、身内にも迷惑をかける

などなど、を考えてそれでもそれを乗り越えて万引きを決行しているのではない。

 

考えていないのである。

やってはいけないとか、やってはいいとか、すらも考えていない。

ただ動いているだけ、動いていることすらも詳細にはわかっていないし覚えていない。

 

気がつくのは、店を出てしばらくしてから我に帰って(なんとも表現し難いが、とりあえずこう書く)、その時に手に商品を持っているのである。

しかも、それを盗んだ、という鮮明な記憶があるわけではない。

店の外にいること、商品を持っていること、支払いをした形跡がないこと・・・・

などから繋ぎ合わせると、自分が万引きをした、というのが尤もらしいから、そう思うのである。

 

それから、どうやって万引きをしたのかを思い出そうとする。

自分の行動について、少しだけ断片的に思い出せることがあったりする。

ただ、自分が見聞きした情報・自分主体の情報ではないことがない。

 

例えばその時の情景。

上の方から防犯カメラで映した映像みたいなものですごく狭い範囲だけが見える。

リアルな映像ではなく、店舗内地図みたいなものを、自分が点で移動している。

 

だから、何か後から得た情報とか、すでに持っている情報とかをつなぎ合わせて

補正して記憶を作り上げているような、そんな気がする。

 

毎回毎回そう、というわけではない。

 

ただ、なんとなく、で行動してしまうことが多かった。

店に入るというところから既になんとなくな場合もあったし、店に入るところまでは覚えているがその後商品をいくつか見ているうちに、商品に夢中になってしまい、なんとなく行動することもあった。

 

なんで、なんとなくで行動できていたのか。

それは、万引きをするということが、

反射的に行動開始して、

無意識でも完遂できるくらい習慣化していた

からかもしれないと思う。

 

また、このような動態を医師に相談したら、検査をすることになり、

解離性障害だと言われた。

普段の人格(今こうした文章を書いたりしている自分)とは別の、万引きをする人格と入れ替わって、

その別の人格のコントロールの元で万引きをしていた可能性がある

と言われた。

 

動作、精神的なこと、環境からの情報(視覚とか嗅覚とか聴覚からの情報)・・・何がきっかけやスイッチとなっているのか・・・

一つだけではないだろうし、特定は難しい。

 

とにかく、とある条件が整ってしまったら、万引きをするのである。

 

しかも、ここ十数年間の自分の万引きはすごく雑で大胆なのである。

 防犯カメラも人目も憚らない・気にしない。

 ものすごく大量にとる。

 隠そう(服のポケットとかカバンの中に入れよう)ともしない。

 同じ店でなんどもやる。

 同じものを何度もやる。

 商品棚にあるその商品を全て、とかやる。(在庫確認すれば異常がすぐにわかる)

 

普通の買い物を装ったりもしないし、盗まれたのがわからない程度なども考えない。

かなり異常だなぁと自分でも思う。

 

病気だということを認識して、

万引きという症状が出ないように治療をしたり、生活に気をつけている。

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